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離婚届のオンライン化と不受理申出制度2020.10.19

1 離婚届をオンラインで提出する時代が来る?!

2 離婚届を勝手に出されるのでは?

2-1 オンライン上での離婚届の提出は安全か

2-2 離婚届の不受理申出制度

3 最後に


こんにちは。子育て世代の行政書士 宮地です。

  

今回は,離婚届のオンライン化と不受理申出制度について書いていきます。

    

デジタル化の推進で,離婚届についてもオンライン申請の流れが来ています。

   

オンライン化されると,

離婚届が勝手に提出されてしまうのでは?!

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

    

オンライン化が検討される以前から,離婚届に勝手に署名押印され提出されるリスクを防ぐ制度(不受理申出制度)があります。

  

今回は,オンライン化検討のニュースにあわせて,この「不受理申出制度」についてご紹介していきます。

1 離婚届をオンラインで提出する時代が来る?!

先日のニュースにて。

  

10月9日の記者会見で,婚姻届や離婚届の

  

■ 押印の廃止

■ オンライン化促進

  

について,法務省の考えが示されました。

  

実は,制度上は現段階でオンライン提出は可能です。

  

ただ,実際にそれを実施している自治体はゼロの状態です(2020年10月現在)。

2 離婚届を勝手に提出されるのでは?

報道によると,離婚届の提出にあたっては本人確認のため,押印に代えて電子証明書の提出が検討されているようです。

2-1 オンライン上での離婚届の提出は安全か

電子証明書は,マイナンバーカードの保有が前提で,暗証番号がわかっていないと発行できません。

     

そのため,申請者本人が他人にマイナンバーカードを渡して,暗証番号まで教えなければ,第三者による“なりすまし”提出は防止できます。

     

【総務省HP】マイナンバーカードに搭載の電子証明書について

   

他方で,現行の制度では,離婚届には

「届出人がこれに署名し,押印しなければならない」旨規定されています(戸籍法29条)。

    

離婚届については離婚しようとする当事者2名の署名捺印が必要とされるわけで,証人2名の署名捺印も要求されています。

    

これを見れば一見厳格ですが,そもそも離婚届は押印は実印ではなく,認印でOKです。

   

登録印でなくてよいわけですから,一方の当事者が他方になりすまして押印し,

無断で離婚届を提出することも理論上は可能です。

   

そういった意味では,オンライン化された方が手続上“なりすまし”は難しく,申請方法として安全といえます。

2-2 離婚届の不受理申出制度

勝手に離婚届を提出されてしまうことについては,防止策があります。

  

それが「不受理申出」の制度です。

   

具体的には,

   

①本人の意思に基づかない届出を勝手にされる恐れのある方が,

②本人が窓口に行って届け出たことを確認しない限り,

③届出を受理しないよう,役所に事前に申し出ておく

  

といった内容になります。

    

離婚届(協議離婚)の場合は,ご夫婦それぞれ申し出ることが可能で,

書式についても窓口や自治体ホームページでも公開されています。

  

なお,不受理申出は,申出人が取下げしない限り有効です。

   

これは裏を返せば,正式に離婚の合意があって離婚届を提出する場合,

この不受理申出が取り下げられていないとすぐには受理してもらえないことになります。

  

ですので,お互いの協議で双方納得の上離婚される場合は,

不受理申出は先に取り下げておく必要があるなど注意が必要です。

  

また,この制度は離婚届に限らず,

■ 婚姻届

■ 養子縁組届

■ 養子離縁届(協議離縁)

■ 認知届(任意認知)

についても認められています。

3 最後に

今回は,離婚届のオンライン化について触れ,不受理制度について説明していきました。

  

勝手に離婚届を出されてしまうということは,

法律上の権利関係にも重大な影響があります。

   

例えば,

離婚届において親権者を勝手に指定されることで親権を失ってしまったり,

知らぬ間に財産分与請求権が時効を迎えていたり(離婚から2年間)

することもあるからです。

  

もちろんそういった虚偽の届出について,

事情を知って争っていくことも可能ではありますが,相当な時間がかかります。

  

ですので,現行の制度のままであろうと,オンライン化されようと,

この申出をしておけば,少なくとも自分の知らないところで

勝手に離婚届が受理されるといった事態は防ぐことができますね。

     

最後までご覧いただき,ありがとうございました。


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