婚姻中に別居しているケースにおいても、いわゆる婚姻費用の中に養育費も含まれていると解されます(民法760条等)。
未成熟子に対する養育費の支払義務(扶養義務)は、親と同水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)であるとされており、親権者ではなく、同居していない親にも分担義務があります。
監護養育していない親も養育費を支払うことにより、お子さんを扶養していくことになるわけです。
親として子どもの生活を保障し、成長を支えていくことは法律上の義務であり、 養育費の支払いは離れて暮らす親と子を結ぶ絆にもなるといえます。
先ほど述べましたとおり、離婚したからといって、親権者とならなかった一方の親について、子どもに対する責任がなくなるわけではありません。
未成熟子を監護する親(監護親)は、監護していない親(非監護親)に対し、子どもを育てていくための養育費を請求することが可能です。
さらにいえば、扶養料の請求権は「子」の権利であるため、親が権利を放棄したとしてもお子さん自身が実質的に養育費を請求できるケースもあります。
離婚の際、夫婦間だけでなくお子さんを経済的な面で不安にさせないためにも、「養育費」について十分に話し合っていただく必要があるでしょう。
参考として、法務省ホームページにも養育費作成に関する手引きが掲載されています。
財産分与などのその他の条件をどのようにしていくかもふまえつつ、養育費の支払いに関しては、次の点まで、協議して定めておくこともポイントとなります。
• 複数の未成熟子がいるケースでは、各人ごとの養育費の金額
• 支払いに関しては、その期間(始期及び終期)とその方法
(特に終期については、20歳までとするのか、大学を卒業するであろう22歳までとするのか、という点)
• 事情変更による協議の必要性について
離婚後は夫婦それぞれが独立して生活し、疎遠になっていくことが通常です。
養育費の支払合意については、現時点でかなり先の養育費までも定めておくケースもあり、様々な要因により、養育費が増減することもあり得ます(民法766条Ⅲ)。
あくまで可能性の問題にはなりますが、そういった部分も双方が認識した上で、お子さんの将来のため、持続可能な養育費計画を立てていくことが重要です。
お子さんを監護養育していく親としては、離婚後の経済状況が厳しいことが見込まれる場合、少しでも不安を軽減できるように検討しておかなければなりません。
お子さんにかかる生活費を算出し、将来の生活設計も踏まえ、実際に1か月あたりどのくらいの費用が必要となるのか、具体的に算出しておく必要があります。
家計簿をつけたり、毎月の収支について細かく計算したりされている方ばかりではないと思いますし、毎日忙しくて、そんな暇なんかないという方も、もちろんいらっしゃると思います。
ただ、養育費を「請求する」側として、相手方をスムーズに話し合いを進めるためにも、例えば、年間にかかる費用がいくら、それを12か月で割ると「月々〇万円」というように、ある程度でも構いませんので、具体的な金額を提示できるよう準備しておいた方がよいといえます。
裁判所のホームページでも、双方の年収から養育費を算出するための表が公開されていますので、参考にご覧ください。