こんにちは。子育て世代の行政書士 宮地です。
今回は,ひとり親家庭を対象とした自立支援給付金制度について書いていきたいと思います。
離婚については,離婚の際にしっかり話し合いをしておく,そしてその内容を書面に残すことが大切なことはこれまでもたくさんお話ししてきました。
私は行政書士になる前,裁判所において数多くの離婚に関する公正証書や調停調書をみてきました。
いざという時の差押えに関しても,一定の「書面」がないと不可能なことは間違いありませんが,差押えができたからといって必ずしも養育費や財産分与のお金が入るとは限りません。
約束ごとを書面にすることはもちろんですが,将来に向けて生活を維持していくために,ご自身の生活環境や働き方の見直しも必要になってきます。
離婚時の環境や就労状況などは,本当にさまざまです。
離婚する以前は主婦(主夫)として家庭を支えてこられた方,離婚による転居に伴って現在の職場に勤務し続けることが難しい方もいらっしゃいます。
離婚後,ひとり親となったお母さんやお父さんの就労を支援するために,各自治体でも色々な取り組みが展開されています。
離婚して以降の各種諸手当の制度もそうですが,行政サイドのサポートもうまく活用することで経済的に自立し,新しい生活の基礎を築いていくことが大切です。
離婚後の再スタートを考える上で,今回は就労支援に関する制度をご紹介したいと思います。
母子家庭の場合,これまで主婦でいらっしゃった方も多く,生計を支えるにあたって十分な収入を得ることがすぐには難しい状況があります。
同じく父子家庭においても所得や就業の状況などで問題を抱える家庭もあることから、母子家庭や父子家庭の「自立支援給付金事業」として各自治体で就労支援策が実施されています。
今回はその中の2つ
についてご紹介します。
まだ制度を設けていない都道府県などもあり,お住まいの地域によっては支給対象とならないケースもありますので,その点は地域により確認が必要です。
厚労省ホームページ
【母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062986.html
ひとり親家庭のお母さん,お父さんが就労するにあたっての能力開発・向上を支援するもので,対象教育訓練を受講し,修了した場合には給付金が受け取れる制度です。
対象となる就労教育訓練が限定されていること,訓練を修了してから給付が受け取れることがポイントです。
給付内容としては,受講料などの経費のうち6割が支給されます(6割相当額の上限は20万円)。
看護師等の専門資格の取得を目指す専門課程などについては,支給額上限もアップします。
ひとり親の方で,20歳に満たないお子さんを養育されている方が対象です。
また,次のような要件もあります。
支給については,受講前に講座の指定を受ける必要がありますので,自治体への事前相談も必要です。
給付には審査があり,受講を終えてからの支給ですので,一旦費用は先払いしておく必要があります。
なお,ハローワークから「教育訓練給付金」が支給される場合は、条件により支給額が異なります。
雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座など,指定のものが対象です。
通常のインターネット検索でヒットしたスキルアップ講座等が必ずしも対象となるとは限らないため,事前に確認が必要です。
制度の対象となる講座は,インターネットでも検索できます。
検索はこちらから⇒「教育訓練給付制度検索システム」
ご自身に合った検索条件で探すことができますし,スマホでもOKです。
WEB関連やファイナンシャルプランナーの通信講座などもあったりします。
ひとり親家庭のお母さん,お父さんが,看護師・准看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士等の資格取得のため養成機関で1年以上のカリキュラムを修了した場合に,給付金が支給される制度です。
資格取得に向けて長期に修業する場合,その期間中の生活負担を軽減するための給付金です。
ひとり親の方で,20歳に満たないお子さんを養育されている方が対象です。
また,上記教育訓練の給付金と一部重なりますが,次の要件も挙げられます。
前記同様,お住まいの自治体への事前相談も必要となります。
申請は修業開始から可能で,支給決定がなされれば申請月分からの支給となるのが,上記教育訓練の給付金とは異なるところです。
看護師・介護福祉士・保育士・理学療法士・作業療法士・准看護師・歯科衛生士・美容師・社会福祉士・製菓衛生師・調理師・精神保健福祉士・栄養士・臨床検査技師・理容師・臨床工学技士・言語聴覚士・歯科技工士・臨床放射線技師・はり師・きゅう師・柔道整復師・視能訓練士・義肢装具士・自動車整備士 など
対象となる資格は,かなり幅広く設けられています。
こちらも対象については各自治体で多少異なるため,お住まいの地域で確認が必要です。
給付額(支給額)については,次のとおりです。
(市民税非課税世帯)月額100,000円
※ 修学期間の最後の1年間は140,000円
(市民税課税世帯) 月額 70,500円
※ 修学期間の最後の1年間は110,500円
支給の期間としては,4年が上限となっています。
また,次のとおり「修了支援給付金」というのもありますが,支給は修了後1回のみで,修了日から30日以内に別途申請する必要があります。
(市民税非課税世帯) 50,000円
(市民税課税世帯) 25,000円
今回は,ひとり親のお母さんやお父さんの就労支援制度について触れました。
離婚する前から,経済的にも新しいライフスタイルが始まっています。
弊所では,協議離婚について,離婚協議書や公正証書にする上での書面作成サポートを承っていますが,その書面づくりと同時に,離婚後の生計に関するお悩みや,就労などの行政サポートについてのご相談もお受けしております。
お話ししやすい雰囲気を心掛け,Zoomを使用したオンライン相談など,お客様に合った面談スタイルをご提案しております。
ささいなことでもお気軽にご相談ください。
次回は,協議書面のお話に戻って「財産分与」について書いていきたいと思っています。
お客様からもたまに聞かれるのですが,ここでいう「財産」の代表例についても触れたいと思います。
最後までご覧いただき,ありがとうございました。