DVやストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者を保護するため、
これらの行為の加害者が被害者の住所を探索することを目的として
住民票の写しや戸籍の附票の写しを取得することを制限する制度です。
被害者の保護も重要であるとともに、他方で加害者の権利も大きく制限されるため
慎重な運用がなされています。
お住まいであったり、戸籍のある市区町村で手続きができます。
次のいずれかの状態に該当すると相談機関が認める人が申し出をできます。
市区町村役場へ行ったその日に支援措置の決定があるわけではなく、
そもそも申出人となるうえで警察署や配偶者暴力相談センター、
家庭児童相談室などに相談していることが前提になります。
申出の流れについては次のとおりです。
(1)住民基本台帳事務における支援措置申出書
※相談機関(警察署、家庭児童相談室等)の意見の記載と押印がされているもの
(2)本人確認のできる書類(運転免許証など)
※警察署の窓口
DV被害について相談したい時は、「生活安全課」が担当しています。
まずは、けいさつ総合相談センター(#9110)にダイヤルしてみる方法も一つです。
※家庭相談室とは
家庭における児童の問題を中心として、それに伴う環境等の相談、指導を行う機関です。
お住まいの市区町村の子ども支援課や保健福祉センターなどに設置されています。
加害者からの請求又は申出については、「不当な目的」があるもの等とし、
住民票の写し(住民票や戸籍の附票など現住所に繋がる証明書)等の閲覧や交付が不可になります。
なりすまし防止のため、支援措置申出者サイドの代理人や使者による住民票の写し等の請求は認められません。
→委任状を利用しての請求ができないことになります。
「支援措置」についてはとてもセンシティブな問題であり、万が一閲覧された場合に
被害者の受ける不利益が大きいため、一度支援措置が取られると相当厳格に扱われます。
ただし、
・弁護士等からの職務上請求
・国・県等からの公用請求
・債権者(生命保険会社・金融機関等)からの請求
・同一戸籍者からの戸籍の請求等で不当な目的によるものでないとされた請求
まで一律に拒否されるものではなく、すべてが絶対でない点は注意が必要です。
支援措置の期間は、原則として確認の結果を申出者に連絡した日から起算して1年です。
支援が必要と認められた場合は本人及び関係市区町村へ決定通知が送付されます。
ちなみに起算日については、支援措置決定の日から起算としている所もあれば
支援措置の申出があった日から起算するとしている自治体もあります。
延長の申出をする場合は、支援措置終了日の一か月前から受付されています。
支援措置は永久的なものではありません。延長を希望する場合は、申出が必要なのでご注意ください。
なお、申出の市区町村外に転出した場合は、その時点で支援措置が終了します。
引き続き支援を希望する場合は、転入する市区町村に改めて支援措置の申出書の提出が必要なので
その点も十分お気をつけください。
今回は、支援措置について書いていきました。
DVであったり、虐待を原因として住所を明かしたくないという要望は、
支援措置の制度自体が浸透してきたこともあり、増加傾向にあります。
裁判所の手続の中でも、手続内で現住所を明かしたくないケースにおいては
「住所秘匿(ひとく)」事案として、適切な管理のもと手続きが遂行されます。
ただ、この支援措置にしても、住所秘匿に関しても被害者自身の身体を全面的に保護するものではありません。
DVの保護命令についてもまずは引き離すということを前提に、
相手方の権利もあるため、支援措置と同様、制度としては期間限定で定められています。
支援措置を取ったからといって、すべてが守られるわけではないですが
まずは制度を知っていただき、自分ひとりで抱えることなく周囲や適切な相談機関へご相談ください。
【参考】埼玉県警察HP DVの相談先一覧が掲載されています。
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/c0020/kurashi/dv-bousi.html
【参考】男女共同参画局HP 支援措置を取った場合の児童手当や国民健康保険のQ&Aが掲載されています。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/siensya/07.html
最後までお読みいただき、ありがとうございました。