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年金分割

離婚時に年金を分割できる制度があるの?

「離婚時年金分割制度」があります。離婚した際に、婚姻期間中の保険料の納付記録を夫婦の間で分割することができるという制度です。

年金分割の制度趣旨としては、離婚後も夫婦2人それぞれの老後の生活を年金により支えられるようにしていくものです。
年金分割によって分割を受けた側(多くは妻)は、将来自分の年金として分割を受けた分の年金も受給できることになります。

よく言われる点でもあるのですが、厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することになりますので、離婚後に半分ずつ年金をもらえるというわけではありません。

あくまで婚姻中の夫婦の一方の厚生年金記録が分割されるという仕組みですので、将来の年金額が同一となるわけではないのです。
年金分割には、年金事務所等への「請求」手続きが必要であり、離婚により自動的に分割されるものではないので注意が必要です。

なお、分割後の厚生年金を受け取るには、分割を受けたご自身が、基礎年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていることや支給開始年齢に到達していることが前提となります。

年金分割の対象は?

離婚時の年金分割は、年金の三層構造のうち、いわゆる「2階部分」にあたる厚生年金(旧共済年金)の保険料納付記録が対象となり、期間は原則として婚姻から離婚成立までです。

例として、次のものは対象外となります。

① 婚姻前の年金記録(事実婚の場合は例外あり)
② 国民年金の年金記録(いわゆる「1階部分」)
③ 確定拠出年金、企業年金、個人年金などの上乗せの年金記録(いわゆる「3階部分」)

ですので、例えば夫が婚姻時から自営業者であるといったケースでは、原則として年金分割はできないことになります。
また、年金分割には請求期間があり、離婚から2年以内に分割請求をする必要があります。
この2年という期間は、相手方が死亡したり、離婚から2年を過ぎた後に年金分割の審判や調停が成立したなどの場合には、別途期間の制限がありますので注意が必要です。

「合意分割」と「3号分割」

年金分割には、「合意分割」と「3号分割」の2つの制度があります。

「合意分割」は平成19年(2007年)4月1日から施行された制度であり、夫婦が年金分割すること及びその割合について任意に合意できる制度です。
合意ができない場合には、家庭裁判所の調停や審判において按分割合(上限は最大2分の1)を決めることになります(厚生年金保険法78条の2、家事事件手続法別表第2の16等)。

「3号分割」は平成20年(2008年)4月1日から施行された制度であり、厚生年金の被保険者(多くは夫)が納付した保険料について被扶養配偶者(施行日以後の国民年金の第3号被保険者=多くは妻)が年金事務所に請求することにより、夫の厚生年金記録の2分の1を強制的に分割できるという制度です(厚生年金保険法78条の13、78条の14)。

夫妻で按分割合を決める必要はなく、「2分の1」と法定されています。
合意分割の場合、分割を受ける側として、第1号改定者(分割される側)の配偶者であれば第1号被保険者(例:自営業者)や第2号被保険者
(例:被用者年金の被保険者)も含まれますが、3号分割の対象者はその名のとおり、専業主婦などの第3号被保険者であった者に限られます。

また、3号分割ですと、分割の対象となる期間が施行日である平成20年(2008年)4月1日以降となり、それより前の期間は含まれません。
この点も合意分割とは違うところです。

詳細については、日本年金機構のホームページもご参照ください。


日本年金機構ホームページ 離婚時の年金分割
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/jukyu-yoken/20140421-04.html

年金分割のためには、まず何をするの?

分割方法が「3号分割」であるのか、「合意分割」によらなければならないケースかによって変わります。

「3号分割」は、国民年金の第3号被保険者であった側(多くは妻。事実婚も含まれます)から年金事務所に請求することにより分割可能な制度です。

請求にあたっては、合意は必要なく、3号被保険者のみが単独で手続きが可能です。この請求により、分割を受ける側(多くは夫)の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)の2分の1を強制的に分割することができます。

これに対し、「合意分割」の場合は手続きの流れが異なります。

3号分割の制度は2008年4月1日に施行されましたので、それより前の婚姻期間は3号分割の対象外です。
したがって、この対象外の期間は合意分割の請求なしでは、自動的に分割されことはありません。
このことから、2008年4月1日より前から結婚生活が始まっているという方については、合意分割も検討しておく必要があります。

合意分割で気を付けることは?

分割及びその按分割合が合意できた場合は、公正証書等にしておくことが肝要です。

合意分割のケースでは、ご夫婦の合意ができた場合と合意できなかった場合とに、分けて考える必要があります。

⑴ 合意ができた場合

 原則として、離婚後に元ご夫婦双方で年金事務所に出向いてお手続きい ただくことになります(代理人も可)。

 しかし、このような方法ですと、離婚後に相手方と協力する必要があり、その時になって相手方が手続きに協力してくれなかったり、そもそも合意を撤回されるリスクもあります。
 そもそも、心情的にも離婚後にわざわざ二人で出向きたくないというお気持ちもあると思います。

そのため、合意分割については①公正証書を作成する、又は、②年金分割の合意書に公証人の認証を受ける(私署証書認証)方法をとり、その書類を年金事務所に請求する際に添付して手続きが行われているのが実情です。

二人でサインした合意書だけではだめなのかと考える方もいらっしゃると思いますが、この方法によることは法定されているため、合意分割については離婚協議書に記載するだけでは分割請求の手続きは進められないのでご注意ください。

⑵ 合意ができなかった場合

 任意に合意ができなければ、家庭裁判所の手続きで決めていくことになります。

この場合は、年金事務所に「年金分割のための情報通知書」(単に「情報通知書」と呼んでいます)を請求する必要があります。
この情報通知書は、夫婦の一方が請求した場合、離婚前であれば請求した方にのみ交付されます。離婚前であれば相手方には知られずに情報通知書を受領することが可能ですが、同居されている場合は年金事務所でご自身が直接交付を受けたり、郵送受領の場合には送付先は実家にしておくなど注意が必要です。
なお、50歳以上の方については、希望により分割後の年金見込額についても知ることができます。

情報通知書は、家裁実務においてはもちろんですが、任意に話し合う場合にも請求しておくとよいでしょう。
按分割合を決める際、何パーセントから決められるのか実際に確認することができます。
公正証書の記載においても情報通知書を別紙として引用するケースもあり、対象期間や期間中の標準報酬総額についても一覧性がありシンプルです。
年金分割にかかる公正証書は単独でも作成されますが、離婚給付にかかる公正証書の一内容として作成されるケースも多くあります。

情報通知書の形式や見方は、年金機構のパンフレットにも掲載されています。
請求の際には、いくつか書類が必要となりますので、事前に確認しておく方が安心かと思います。


日本年金機構ホームページ掲載パンフレット
「離婚時の年金分割について(手続きのご案内)」
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000023772.pdf

弊所では、ご夫婦の状況をしっかりと伺った上、離婚協議書の作成や案文の添削、公正証書の作成に関する準備まで、丁寧にサポートいたします。
まずは、お気軽にご相談ください。

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