こんにちは。子育て世代の行政書士 宮地です。
今日は、離婚について「調停離婚」「協議離婚」の違いについて解説していきます。
調停離婚と協議離婚って、どこがどう違うんですか。
これは意外とよく聞かれます。
■調停離婚は裁判所で離婚するもの
■協議離婚は、結婚したときと同じで離婚届を出すもの
大体そんなイメージかと思います。
行政書士になる前は裁判所で書記官として働いていましたが、
当時から細かい違いがわからないと聞かれることも多かったです。
調停離婚と協議離婚のどちらがよいという意味ではなく、
制度から捉えた客観的な違いを説明していきます。
どちらもお互いが話し合って離婚を決めていくというところは共通です。
ただ、協議離婚との大きな違いは、調停離婚は話し合いを裁判所で進めていくことです。
申立て後、大体1か月先くらいに調停期日が指定され、期日には調停委員からそれぞれ別の部屋で話を聞かれます。
調停委員は裁判所非常勤職員で、豊富な知識経験や専門的な知識を持つ民間の方から選ばれます。
具体的には原則として40歳以上70歳未満の方で、
弁護士、行政書士、医師、不動産鑑定士などの専門家以外にも
地域社会に密着して幅広く活動してきた人など各分野から選ばれています。
そこでは期日1回で離婚の内容が決まることは少なく、平日に何度も裁判所に行く手間があります。
ご自身で手続きをされていて、お仕事もある方にはかなりネックかと思います。
ちなみに、裁判所にいた頃
「話し合いなんて絶対無理なので、裁判からできないのですか」
と聞かれたこともあります。
これは、原則としてできません。
相手方が行方不明など特別の事情がある場合は別ですが、調停前置といって
必ず話し合いからという制度設計になっています。
もし調停ができなければ、裁判の中で、また場合によってはその間に審判という手続を挟むこともあります。
最終的に話し合いがつけば成立調書として残し、離婚届を行うことになります。
話し合いがついた時(=調停成立日)に離婚は成立し、離婚届は単にそのことを区市町村役場へ報告するイメージです。
なので、離婚届の記載事項も変わってきます。
これに対して、協議離婚の場合は自由な話し合いの後、離婚届のみで離婚できますが、
将来やお子さんのことを考えて離婚前に協議書や公正証書の作成をおすすめしています。
離婚調停の申立てについては、
の費用がかかります。
これはどの裁判所でも同じです。
民事事件だと、請求したい金額によって申立手数料は大きく変わりますが
家庭裁判所は身近な手続きということもあり、安いです。
もちろんこれは弁護士に依頼したり、裁判所へ何度も行くための交通費などは入っていません。
協議離婚の場合で公正証書を作成する場合は、定める内容にもよりますが
弊所でサポート作成させていただいたケースですと
公証役場への手数料は2~3万円ほどになることが多いです。
これは意外と知らない方も多いです。
調停離婚以外にも、審判離婚、裁判離婚などがありますが、これに関しては戸籍にも記載されます。
例えば調停離婚の場合→「離婚の調停成立日○年○月○日」といった記載がなされるため、
戸籍の記載を見れば、調停離婚した事実、裁判離婚した事実などはわかります。
なお、どちらが調停を申し立てをしたか、慰謝料支払いの有無などは戸籍には記載されません。
戸籍は一定の親族しか見ませんし、どちらが良い悪いでもないですが
離婚調停の後、戸籍にまで記載されるとは知らなかったという声を聞くことも多く
なんとなく抵抗がある方もいるようです。
今回は、調停離婚と協議離婚について制度上の大きな違いについて書いていきました。
協議離婚は裁判所で行われる手続きほど制度上の縛りはありませんが、
少し手間や費用をかけても離婚前に書面を作ることは将来やお子さんのためにも重要です。
お互いが話し合いをして条件を決めていく、というところは書類にしておかないと
後で言った言わないの話になりかねません。
離婚届というたった1枚の紙ですが、実生活に大きな影響のある話です。
最終的にはご夫婦のお二人で決めていただく話ですが、なぜ書面に残しておくのがよいのか、
そもそも公正証書とはどういう書類なのか、弊所ではその点もきちんとご案内した上で
作成のお手伝いをしております。
ささいなこともお気軽にご相談ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。