こんにちは。子育て世代の行政書士 宮地です。
今回は,【不動産の財産分与】というテーマで書いていきます。
離婚によって生活も様変わりしますが,住まいについての要素も大きいです。
誰が離婚後もそのお家に住むのか,そこもポイントですが,
いざ財産分与を考えるにあたって必ず最初に確認する事項があります。
今回はそこをふまえながら,書いていきます。
ここは,不動産について考える上で最初に念頭におくことだと思います。
そのお住まいに今後も住みたい方もいれば,もう誰も住まない場合もあり様々です。
ただ,どなたかが今後も住む場合
特に,今後もお子さんと一緒に住む場合は重要です。
引越しとなると保育園や学校の環境も変わってしまうため,不動産の財産分与を希望される方も多くいらっしゃいます。
もちろん今後も済む方がその不動産の所有者となっている場合はよいのですが,
例えば所有名義は夫,今後も住みたいのは妻である場合に
制度上,簡単には財産分与ができない場合があります。
財産分与にあたって,まず最初に確認しなければならないことを挙げます。
不動産の財産分与に際して,まず確認することは
その物件が
オーバーローンの状態かどうか
です。
オーバーローンかどうかで,取れる選択肢がまったく変わります。
オーバーローンかどうかを確認するにあたって,
まずはオーバーローンとはどういう状態かを考えます。
「オーバーローン」とは,その住宅の価格より高い金額のローンを借りている状態
をいいます。
家の価格以上の住宅ローンを借り,長期返済(いわゆるフルローン)を設定した場合に陥りがちです。
オーバーローンの不動産を売却できないのは,ローンを組んでいる銀行が売却を認めないことが理由です。
銀行が売却を認めない=銀行が自宅を担保として設定している抵当権の解除をしないという意味です。
他人の抵当権のついた家を売られるリスクを承知で買う方はいないため,実質的に売却が不可能となります。
詳しくはこちら↓↓
それではオーバーローンの場合はどうすればよいのでしょうか。
確認していく上での簡単な流れはこちらです。
よくみられるのは,図の①のように,
これまでどおり夫がローンを払い続けるケースです。
たとえば夫の所有名義となっていて夫が住宅ローンも支払っている,
妻と子どもはすぐに転居することが難しいケースでは,
夫の所有名義のまま,一定期間(子どもが高校を卒業するまでなど)は,
妻と子どもはその不動産に住み続けるといった取りきめです。
この場合,銀行などとの関係では,住宅ローンの支払義務者は夫のままです。
ただ,この場合夫がローンを支払ってくれなくなるリスクもあります。
支払いが滞ると銀行は最終的には不動産の競売も考えるでしょうから,
そのような場合に備えて離婚の際は条項を工夫しておく必要があります。
また,別のパターンとして,図の②のように
妻がずっと住み続けることになった場合,財産分与として登記名義を妻に変更することもあります。
この点,夫が住宅ローンを抱えている場合は登記を移すことができないと
誤解されている方もいますが,そのようなことはありません。
住宅ローンの契約書や約款をよくみると名義変更にあたっては銀行の承諾を要する等はほとんど定められていますが,
登記を移転すること自体は可能です。
その後も住宅ローンが順調に支払われているかぎり特に問題となることはあまりないようです。
ただ,いくら名義が変わっても,担保権の効果はなくならないので,
夫が住宅ローンの支払いが滞らせると結局は競売にかけられて所有権を失うことになります。
ですので,住宅ローンを妻の名義で借り換えるのが理想的です。
収入や保証人といったハードルが待ち構えていますが,
フルタイム勤務の正社員であるようなときは金融機関にかけあってみる価値はあります。
今回は,不動産の財産分与に着目して書いていきました。
上記に挙げた方法以外にも,
夫名義のローンを妻が立て替え,
立替金については夫との間で支払いの条項を入れておくなど
お二人の合意内容と将来をふまえて,たくさんの条項が考えられます。
弊所では,裁判所で調書の作成経験もある行政書士が
合意内容に基づいて,最適な条項をプランニングすることが可能です。
離婚は,
人生の中で1度か2度あるかどうかの機会ですから,
慣れていなくても当たり前です。
公正証書や調停調書を何十回とみてきて思うことですが,やはり慣れは大きいです。
ご自身のための時間を無駄にしないために,
ご自身の力だけで原案をつくって,公証役場に駆け込むよりも,
専門家の力を活用する方が手間も省けます。
離婚のときのお悩みにしても,離婚原因やご家族構成によってお悩みも様々です
弊所ではご相談者様のご要望をしっかりと伺い,
それぞれのご家族にあった協議内容を設計いたします。
最終的に離婚まで至らなくても,ご相談いただくことで,
日々を見つめなおすきっかけになる方もいらっしゃいます。
少しでもお悩み解消のきっかけとなれれば幸いです。