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離婚届の提出がゴールではありません2020.08.17

1 離婚届だけではない行政手続き

1-1 市区町村役場の窓口において(ご自身のこと)

1-2 市区町村役場の窓口において(お子さんのこと)

2 その他公的機関の窓口において

3 銀行など民間会社における手続き

4 最後に


こんにちは。子育て世代の行政書士 宮地です。

  

前回は,離婚の際に名字を旧姓に戻すかどうか,またその場合の手続きについて触れました。

  

お子さんのいらっしゃる場合,離婚届だけではなく,場合によっては家庭裁判所の手続きも必要になるなど,様々な場所で必要な手続きが出てきます。

  

行政の関係でもそうですし,勤務先や銀行等での手続きも必要になります。

  

今回は,新たなスタートを切るにあたって,離婚届以外に必要となる手続きについて挙げていきたいと思います。

1 離婚届だけではない行政手続き

離婚のことを常に考えてきた方は,離婚届の提出は本当に一息つける瞬間だと思います。

  

もちろん離婚届の提出が一区切りにはなりますが,そこから必要となる手続きもたくさん出てきます。

引っ越しの準備を整えつつ,お名前が変わること,母子家庭や父子家庭となることによる環境の変化もあります。

  

行政手続きのみであれば一式アナウンスしてくれる自治体もありますが,その他の機関で必要なものもあるため,一通りイメージしておきましょう。

1-1 市区町村役場の窓口において(ご自身のこと)

主な手続きは,次のとおりです。

 

  • (引っ越しした場合)住民票の異動
  •  国民健康保険,国民年金に関する手続き
  •  個人番号カード(マイナンバーカード)の登録事項変更
  •  印鑑登録(新氏名,新住所)
  •  免許証の記載変更
  •  パスポートの氏名変更                 

  

会社勤めでいらっしゃる場合は,市区町村役場ではなく,各健康保険組合での被保険者の氏名変更や厚生年金関連の手続きが必要になります。

  

また,例えば妻と子がサラリーマンである夫の扶養から外れる場合,夫側で被保険者異動届を会社に提出すると,保険証など返還の上で資格喪失証明書がもらえます。

  

この証明書を利用して,妻側では早急に新たな健康保険に加入しなければなりません。喪失日からの期限もあるため,無保険の状態とならないよう,事前に準備しておく必要があります。

お子さんは妻側と同じ健康保険に入ることもできますし,夫の扶養のままでいるという選択肢もあります。

1-2 市区町村役場の窓口において(お子さんのこと)

必要となる主な手続き例は,次のとおりです。

  

  •  お子さんの転入学などの手続き
  •  児童手当に関する手続き・・・※支給月注意
  • (ひとり親家庭などの支援)児童育成手当,児童扶養手当受給手続き
  •  子ども医療費受給者証(住民票登録地で申請)

  

ひとり親家庭などの支援については,自治体によっても様々で,「児童育成手当」に関しては名称が違う場合もあります。

  

児童育成手当(障害手当)は,父または母がいない児童を養育している方に、児童手当とは別に定額が支給される制度です。

父または母に重度の障がいがある場合も制度の対象です。

   

原則として,申請日の翌月分から支給されます。

  

児童扶養手当と同じく,父または母がDV(配偶者からの暴力)によって裁判所から保護命令を受けたお子さんについても対象となるので,生活に不安がある場合は離婚前であっても,躊躇せず相談しましょう。

  

その他,就学についても,就学援助等の補助が出るケースもありますので,お子さんが通う小中学校のお便りなどでも情報はチェックしておきましょう。

2 その他公的機関の窓口において

必要であれば,以下の手続きも必要となります。

 

  •  子の氏の変更許可申立て(家庭裁判所)
  •  離婚時の年金分割制度の利用(年金事務所)
  •  不動産についての所有名義の変更(法務局)

   

年金分割は,離婚後も夫婦2人それぞれの老後の生活を保持していくため制度です。

  

年金分割によって分割を受けた側(多くは妻)は、将来自分の年金として分割を受けた分の年金も受給できることになりますが,離婚後に元夫婦が半分ずつの金額で年金をもらえるというわけではありません。

  

あくまで婚姻中の夫婦の一方の厚生年金“記録”が分割されるという仕組みですので,将来の年金額が同一という意味ではないんですね。

  
この年金分割は,何もしなくても自動で分割されるものではなく,年金事務所等への請求手続きが必要です。

 

原則として,離婚日の翌日から起算して2年以内が請求期限ですが,これには例外もあるため注意が必要です。

3 銀行など民間会社における手続き

考えられる主な手続きは,次のとおりです。

  

  • (住所変更時)郵便局への転居届
  •  銀行口座の名義変更や届出印変更
  •  クレジットカードの氏名・住所変更
  •  保険契約の氏名・住所変更
  • (不動産を賃借している場合)賃借人の名義変更など

  

銀行,クレジットカード会社及び保険会社に関しては,新しい住所や名字の変更を届け出る必要があります。

  

必要書類は会社によって異なりますが,多くは免許証などの身分証の確認が必要となりますので,免許証やマイナンバーカードなどの変更を先に行った上で,手続きを進めるのがスムーズです。

  

届出を忘れるとクレジットカードなども思わぬところで使用不可になったり,銀行からの郵便が届かなくなったりします。

 

郵便局への転居届を出しておくことで郵便の不到着リスクは回避できる場合もありますが,予期せぬ事態を避けるためにもきちんと手続きをしておくことをおすすめします。

4 最後に

今回は,離婚時に必要となる手続きについて一通り挙げました。

  

ご自身の状況によってはここまで必要ではない方,逆に今回挙げた以外にも手続きが必要という方もいらっしゃると思いますが,日々育児や仕事で忙しい中,一から手続きを確認するのは負担もありますよね。

  

当然,離婚後は環境も変わり、生活スタイルも一気に変化します。

   

再スタートを意識する上で今回一通りご紹介しましたが,弊所では離婚時の手続きに関して一覧表もご用意しております。

  

悩みや不安は都度出てくるものだと思いますので、行政から受けられる支援や法務に関するご相談について,ご相談者様に合うプラン設計も承っております。

  

行政機関や周囲に相談する,とにかく一人で抱え込まないことが大切です。

 

離婚時の協議書面の作成サポートだけでなく,離婚後の手続きや生活設計についても一緒に考えます。

ささいなことでもお気軽にご相談ください。


次回は,離婚後に母子家庭となったお母さんや父子家庭となったお父さんの就業支援の一つである「自立支援給付金事業」の利用について書いていきたいと思います。

  

最後までご覧いただき,ありがとうございました。